「よお、今帰りカ? よかったら、ちょっとだけ血を吸わせてくれヨ」
街灯の少ない薄暗い小学校沿いの道を歩いていると、甲高い男の声がマイクのエコーのように辺りに響く。
この声に心当たりがあった私は、うんざりしながら電柱を見上げた。
そこには案の定、コアラのように電柱にしがみついているコウモリ男――あやかしが牙を見せてニヤッと笑っている。
「絶対に嫌! っていうか毎度毎度、私の帰宅時間に合わせて出没するのやめてよね。そういうの、人間の世界ではストーカーっていうれっきとした犯罪だから!」
何度したかわからない注意をしたとき、フェンスの向こうにある小学校の校庭から「やめてっ」という子供の声が聞こえてきた。
「こんな時間に、子供の声?」
声も切羽詰まってる様子だったし、きっとただごとじゃない。
迷うことなく小学校の校門から中に入ろうとすると、先ほどのコウモリ男がパタパタと羽を動かして私の周りを飛ぶ。
「やめとケ、やめとケ。関わるとろくなことないゾ」
「でも、子供が事件に巻き込まれてるかもしれないし、ほっとけないでしょ」
私はコウモリ男の忠告も無視して、中に足を踏み入れた。
「アーア、どうなっても知らないヨ」
背中越しに声が聞こえたけれど、気になってしまうのだから仕方ない。危険なのは百も承知だ。
校庭にやってくると、ランドセルを背負った男の子たちを発見する。
嘘、小学生だけ?
近くに親は……いないみたいだけど、こんな時間までなにしてるんだろう。
目を凝らせば、ひとりの男の子に寄ってたかって小学生たちが石を投げつけている。
それに居ても立っても居られなくなって、私は駆け寄った。
街灯の少ない薄暗い小学校沿いの道を歩いていると、甲高い男の声がマイクのエコーのように辺りに響く。
この声に心当たりがあった私は、うんざりしながら電柱を見上げた。
そこには案の定、コアラのように電柱にしがみついているコウモリ男――あやかしが牙を見せてニヤッと笑っている。
「絶対に嫌! っていうか毎度毎度、私の帰宅時間に合わせて出没するのやめてよね。そういうの、人間の世界ではストーカーっていうれっきとした犯罪だから!」
何度したかわからない注意をしたとき、フェンスの向こうにある小学校の校庭から「やめてっ」という子供の声が聞こえてきた。
「こんな時間に、子供の声?」
声も切羽詰まってる様子だったし、きっとただごとじゃない。
迷うことなく小学校の校門から中に入ろうとすると、先ほどのコウモリ男がパタパタと羽を動かして私の周りを飛ぶ。
「やめとケ、やめとケ。関わるとろくなことないゾ」
「でも、子供が事件に巻き込まれてるかもしれないし、ほっとけないでしょ」
私はコウモリ男の忠告も無視して、中に足を踏み入れた。
「アーア、どうなっても知らないヨ」
背中越しに声が聞こえたけれど、気になってしまうのだから仕方ない。危険なのは百も承知だ。
校庭にやってくると、ランドセルを背負った男の子たちを発見する。
嘘、小学生だけ?
近くに親は……いないみたいだけど、こんな時間までなにしてるんだろう。
目を凝らせば、ひとりの男の子に寄ってたかって小学生たちが石を投げつけている。
それに居ても立っても居られなくなって、私は駆け寄った。