『今はわからずとも、いずれわかる日が来よう。話は変わるが、人間の身であやかしや神と近づきすぎるのは感心しない』

『でも……私、あやかしさんと神様といるほうがいい』

『なぜだ』

『それは……私が変な子だから。他の人には見えないものが見えちゃう……から』


 そんな私のことをあやかしや神様は気味悪がったり、怖がったりしないから。

 俯きながらそう答えると、頭上から柔らかな声が降ってくる。


『お前は……あやかしや神が見えるその力がなくなればいいと思うか?』


 この力をなくすことができたら、なんて考えたこともなかった。

確かにこの力のせいで人は離れていくし、学校や家ではいつもひとりぼっちだったけど……。


『私が寂しいとき、そばに寄り添ってくれたのも遊んでくれたのも神様だった。私が学校でいじめられると、いじめた子を懲らしめてくれたのもあやかしだったんだ』


 懲らしめたなんて言うと恐ろしいけれど、黒板消しを頭の上に落とすとか、汲んできた掃除用のバケツの水をこぼすとか、小さな仕返しだ。


『お前の魂はあやかしも神も惹きつける。だから皆、お前の言葉に耳を貸すんだろう。好かれやすさに関しては、お前自身の人柄にもあると思うがな』


 神様やあやかしに本当に好かれてるなら、うれしい。それが私の人柄に惹かれてなら、なおさら。

私自身を認めてもらえたような気がするから。

 ……私、やっぱりあやかしや神様が見えてよかったって思う。 

 初めは『食べてやる』って言ってたのに、私が泣いてると慌て出して『仕方ないな』って助けてくれる。

あやかしは乱暴で見た目も怖い場合が多いけれど、心に寄り添ってくれる優しい生き物でもある。それは神様も同様にだ。