「何でーーー嬉しいこと嬉しいって言って何が悪いのーー」
「バカ!声デカい」
「葉月さんだってデカい……この間から先輩に麻雀覚えさせられて捕まってて葉月さんとこ来れなかったし、冬休みに入ってやっと練習早く終わるから先に麻雀して時間やっととれたのにーー」
「ちょっとわかったから声抑えて」
葉月は翼の口を手で塞ぐ
「ふがっ、ふぁづきすわん」
「わかったから小さい声で話そ、ねっ」
うんうんと翼も頷いた
「あー、苦しかった」
「大きな声だすからよ」
「怒ってる?」
翼はクッションを抱いてうるうるした目で見つめてくる
「一旦整理しよ、ちゃんと話して……」
翼は高校時代から付き合っている彼女がいること
夏に数々の彼女の浮気の情報を聞き嫌になって別れたいと言ったがとりあってくれないこと
葉月が現れて葉月を好きになったこと
正月休みに彼女に会って別れてくること
ゆっくりと葉月に話した
「わかった」
「わかってくれた?」
「うん、でも……彼女と別れたからってすぐ私と付き合えるとは思わないで」
「なんでーー、ねーー」
「私もね、あの後冷静に考えたの……一応寮母としてはね、特定の人と付き合ってもいいのかなって」
「お互い好きならいいじゃん」
「私はキスされて嫌じゃないとは言ったけど好きとは言ってないよ」
翼はシュンとうなだれた
「とりあえず連絡先教えて」
葉月は携帯を出してきた
「また、連絡する」
翼は葉月の頬に手を当てた
「キスはしないよ」
「えーー、したい」
「駄目、ちゃんとキリつけてからね」
翼はがっくりとして部屋を出ていった
葉月は鍵を閉めた