「また、意地悪言う……じゃあ、聞かない」
プンと反対を向く
翼は何も言わずにまた海に視線を戻した
あれ?反応なし?
「ねえ、ベンチの端まで行って」
「ここ?」
葉月がギリギリまで離れたところで翼はゴロンと横になった
「ムチムチの太もも、枕にさせて(笑)」
「だから秋月くんは一言多いんだよ」
翼のほっぺたを軽くつまむ
「ベンチ足りてないじゃん」
「足折ればギリセーフじゃないかな」
海の方向を見て横になっていた
「ハァ、海風が気持ちいい………」
また、無言になると寝息が聞こえてきた
昨日寝れなかったのかな……
柔らかい髪の毛を撫で、さっきつまんでいた頬も優しく撫でた
「クシュン!」
あっ、やばい
翼は葉月のくしゃみで目が覚めた
「ん?」
翼に葉月の上着が掛けられていた
葉月さん…………
翼は上を向いた
「ごめん、上着掛けてくれたんだね」
「寝ると寒くなるからね、へへっ、でも私のくしゃみで起こしちゃったよね」
翼の顔が近づいたと思った瞬間、翼の左手が伸びてきて、葉月の頭をひきよせる
…………私達はキスをしていた
拒めなかった……同情?流れ?わからないけど受け入れてしまった……
ぐぅーと葉月のお腹の音が聞こえた
「あっ」
「(笑)昼まだだったもんね、俺も腹減った、戻ってラーメン食べに行こう」
恥ずかしい………キスしてる時にお腹鳴るなんて
私の初めてのキス……付き合ってない人としちゃった
翼は起きて葉月の手を握り船まで歩いて行く
二人は船に乗り駐車場まで戻ってきた
「少し手前にラーメン屋あったからそこ行こうよ」
「よく見てるね」
「ラーメン好きって前に言ったじゃん、ラーメンの看板は見るよ(笑)」