ある病院の調理室で片付けをしていた三宅葉月(みやけはづき)は料理室の上司に呼ばれた

「三宅さん、ちょっといいかな」

「あっ、はい」

上司に付いていくと椅子にどうぞと促される

「あの、言いにくいんだけど……来月バイトの契約更新ができなくなったんだ」

契約書を出された

「あー、休み……ですかね」

「うん、まあ、僕はね身近にいて腰が悪いのわかってるし、身体がきついのもわかるんだけどね、まだ有給もないし欠勤になっちゃうから現場のこと知らない人が決めるからさ、かばいきれなくて……本当に申し訳ない」

「いえ、当然です、自分が腰痛めたのがいけないんですから……サインして印鑑押してきます」

私は契約書の一番下にある“更新しません ”という欄を眺めた

「ごめんね」

申し訳なさそうに上司は部屋を出て行った


仕方ないか……


仕事を終え病院を出たところで友達の理奈に電話をする

「もしもし、理奈?今いい?」

「いいよ、仕事終わったの?」

「うん、さっきね、来月で終わりって言われたよ、半年ずつの更新だったんだけどね」

「半年かー、まあ栄養士もメニュー考えるだけが仕事じゃないもんね」

「理奈みたいに社員で就職じゃなかったしさ、持病の腰痛が出て休みすぎたよ」

「葉月は身体小さいからな〜、大きい鍋は大変だよね」

「まあ、身長低いからね(笑)また、探すよ」

「うん、頑張れ、またご飯行こ!」

「はーい、じゃあ」

葉月は電話を切って自分のアパートに帰る