「どれ、んじゃ先輩のアパート行くか」


景の一声で泊まる場所へと皆の足は動き出す。


景が手を差し伸べて来たのにあたしは気付かないフリをして、あえて景の隣を歩かずに優奈の隣を陣取った。


地元なはずなのに通った事の無い小道。


訳も分からない所をひたすら歩き、気付けば景が真っ白なアパートの前で立ち止まっている。


「到着ぅう〜〜ここよ、ここ」


鍵をポケットの中から取り出し、手慣れた手付きで鍵は開けられ、今夜泊まる場所の扉は開かれた。


「誰もいないけど、お邪魔しゃあ〜〜す」


「おまえら、先輩ん家だから汚すなよ」


白壁紙の部屋に入るなりあきらかに女の部屋なのは一目瞭然で、どんな関係の先輩だよってつっこみたくなったけど、妬いてるなんて勘違いされたくないからとりあえず黙って床に腰をおろす。


見渡す限り家具も女っぽいし、部屋もかすかにいい匂いで直感で可愛い先輩なんでしょうねって感じだ。


「飲み物やらお菓子やら先に買っておいたから好きに食っていいからな」


「マジか。景、気がきく〜〜ありがとねっ」


あたしが景に感謝の言葉を発すると、何処から引っ張り出したのかビニール袋を景は部屋にもってきた。


中には無造作にジュースやら手軽に食べられるスナック菓子がたくさん詰め込まれている。