優奈は優奈なりに怜を愛していたんだと思う。


でも現実で起こったあたしとのキス事件。


気にしないフリをしていたが、やはり許せなかったんだ。


怒りをぶつける相手はあたしじゃなく、怜へ向けられた。


どうして直接ぶつけてこないの?


どうしてなの?


優奈は何を思っていたのだろうか。


友情を守りたかったの?


それともあたしに強く言えなかっただけなのかな…


やはり、いくら考えても出てきやしない。


本人しかわからないんだ。


答えなんてものは…


毎日続いていたぎこちない電話のやりとり。


終止符が打たれたのは優奈なりに起こした反撃から。


あたしが苦手とする者を使っての嫌な反撃で。


「優奈、まいどっ!」


優奈の家に行き、扉を開けると、見慣れない後ろ姿が目に入った。


「あれ?えっと…」


近くに寄るなり、鋭い視線で下から睨み付けられた。


高校に入ってから優奈を通して友達になった女、絵里(えり)。


体格がよく、サバサバした性格。


直球でキツイ言葉を浴びせてくる。


あたしはハッキリいって彼女に対しての第一印象は、最悪だった。


簡単に言えば嫌いなタイプ。


まず、性格が好きじゃない。


「歩さん。ちょっといいですか!?」


「はっ。何?」


重苦しさが張りつめ、部屋一面に広がる。


《なんでこの女がいんだよ。》


互いに喧嘩口調で、目を逸らさない。


あたしは嫌いな女に優しくする気なんて全くない。


マジでコイツが嫌いだ。