優奈と争いをした一件から変化はあったのかと問われたら


親友としての関係は崩れず、笑いの絶えない日々を送っている。


そう、あたしとはうまくいっている…


案の定、怜と優奈の関係にはひびが入りだしていたんだ。


優奈の部屋にいる時は変わらず二人は電話をしていたが、怜と優奈の電話は前より喧嘩が酷くなる一方だった。


優奈はあたしに気を使っているのか、それとも怜に対する気持ちに気付きだしていたのかはわからない。


「歩!変わって!」


電話をあたし目掛け投げ付け、怒りを露わにする優奈は、ハッキリ言って迫力がある。


凄まじく怖い。


「ちょっと、あたし怜君と話す事ないよ!」


「あたしもないもん。あんたら仲良く話せば!」


優奈は聞く耳ももたず背を向け、山積みにされたCDのタワーをかき分けだした。


負けてられるかと言わんばかりにあたしは無言で電話を優奈に押し付け、顔をこわばらせる。


だがキツく睨まれ、圧倒的な気迫で手に無理矢理電話を握らせられた。


らちがあかないやり取り。


嫌気がさし、結局簡単に根負けしたあたしは、耳に電話を当てた。


『もしもし。怜君…』


『あのさ、俺、優奈と別れるから。だからさ』


『……』


優奈の家に行くたび、このやり取りが何度も何度も続いている。


怜も毎日続く争いに疲れだしてる。


なぜ優奈がそんな行動に出るのかがわからない。


ない頭を絞っても答えは出なく、なんとも言えない日々をあたしと怜は過ごしていた。


優奈は何を考えているのだろう。


全く掴めない。


あたしだけじゃなく、きっと怜もだ。


怜は毎日浴びせられる罵声に苦しんでいたが、あたしとのキスがバレたのが頭にあったのだろう。


彼なりに罪を感じ、優奈にキツく言えないでいた。