「歩〜〜!優奈〜〜!」


「景!!!」


はいはい。うっせっつぅのと内心思いながらも遠巻きから手を振る景に見えもしないのに満面の笑みで嬉しそうに右手を振る。


段々と距離が近くなるにつれ映し出された景を見るなり服装がもう既に自分好みでは無く残念過ぎて笑いを堪えるのに必死だったが、優奈は隣で笑いを漏らし


「全力シャツインでヤバくね?あれはねぇだろ」


「思った。流石にあれはねぇな」


「ダメだ。こらえるのつれぇ…」


「おまっ、酷い奴だなぁあ〜〜」


小声で優奈とやり取りしていたら何も知らない景が目前まで来てニコニコしている。


「何笑ってんの。面白い事でもあった?」


「いや、そうでもな…プッ…ハハハッ!!!」


「何、何!?」


「優奈!!!おまえ笑ってんじゃねぇよ!」


「だってさ〜〜」


「あっ!雅也(まさや)来たじゃんほら!あっち!」


遠慮なく言うタイプの優奈が言い掛けたのを阻止して、時間差でこっちに向かって歩いて来る優奈の彼氏を指差す。


ありがとう雅也。まさにそんな感じだ。華があるというか、やけに雰囲気が格好良さげな集団がそこにはいた。


「どうもぉお」


「雅也!」


「おう、優奈。あっ、コイツら連れて行くって言ってた友達」


追加で連れて来た二人の男友達は軽く頭を下げるだけで何も口からは発さない。


機嫌悪いの?ってくらいに。


「ふぅうん。あたし優奈、よろしく。こっちは歩でこっちはその彼氏で景」


そう言われても気が乗らないのか薄い反応の男友達はまた頷くだけ頷いた。