「俺、歩ちゃん好きだから」


ボソッと怜は呟き、再び二人の唇は重なった。


さっきとは違う、もっともっと深く重ねる唇。


怜はさりげなく腰に手を回し、それをあたしの体は受け入れている。


離れては重なり、離れては重なる唇。


「んんっ」


幸せを感じ過ぎて息がもれる。


あたしの手は力が入り、彼のTシャツを握っていた。


怜の頬に手を当て唇を離すと、目と目が合い恥ずかしさから顔をそむけた。


「キスしちゃったな」


再確認なのか、記憶に刻み込むよう口にする怜。


「も、もう遅いから寝ようよ。ねっ」


カミカミで言葉を発し、背を向け、ワザと寝る態勢にあたしは入る。


怜の唇に触れてしまった。


怜の頬に触れてしまった。


覚めやらぬ興奮で体の火照りはおさまらず、血がドクドク波打つ。


今起きた現実が夢のようで頭がついていかなかった。


一度背を向けたものの、怜がどんな顔をしてるのかが気になる…


10分位してからゆっくり体を倒し、怜を横目で確かめた。


「すぅ~っ。すぅ~っ。」


彼は目を閉じ、可愛らしい寝息をたて深い眠りの中で一気に気が抜けた。


あたしは怜の方を向くと、人差し指で彼の唇を軽くなぞり


「人の気も知らないで…好きにさせんな。バーカ」


顔を自ら近付け、眠る彼にキスをした。


どうして彼がいいのかわからない。


~親友の彼氏~


でも彼が好き。


彼がいい。


「優奈、ごめんな…」


怜に背を向け今度は優奈の方を向き、聞こえない小声で呟くと、目を閉じ眠りについた。