布団を引っ張られる感覚が肌を伝う。


温かい温度が布団を挟んで肌に伝わる。


えっ!?何!?


ズシッと体に重みを感じ、目を丸めると、上には怜の顔があった。


「あっ」


怜のあまりに唐突な行動に驚き、つい声が出てしまったが、自分の両手で急いで口を塞いだ。


あたしの声で優奈が起きてしまい、こんな姿をさらしたら誤解される。


「キス、キス、キース」


小声で唯達はキスしろと煽り、月明かりに浮かぶ重なるシルエットに興奮しだした。


顔と顔の間に挟まる布団で息がかかる事はないが、今起きているこの態勢が恥ずかしさをエスカレートさせる。


両手で体を支えながら上に乗る怜は何を考えているのかさっぱりわからなかった。


怜の唇が耳元に近付き、覆い被さる。


ビクッと体をこわばらせると


「布団挟んでキスしたフリしちゃえばアイツら黙るよ」


怜は唯達に聞こえないようにあたしの耳元で呟いた。


耳に息がかかっただけで体の力は抜けそうだったが、気をしっかりもてと自分の親指をギュッと握る。


「うん。キスしたフリね」


布団を唇に当て、目を閉じる。


怜が顔を近付ける気配をヒシヒシと感じる。


近い。


近い!!


「……んっ!?」


ギュッと唇に押し当てられる布団。


唯達を騙す為にしている嘘のキスなのに体は硬直し、一気に体温は上昇すると、熱く火照るのがわかった。


二人が重なるシルエット。


その姿を見たはずなのに、唯達の反応は予想外だった。


「布団挟んだだろ~。ちゃんとキスしろよ〜」


あっさりと作戦は見破られ、怜とあたしはますます窮地に追い込まれる。


これからどうしたらいいかあたしが唇を前歯で軽く噛み締め、考えていると。