怜を意識しまうと思ってはいたが、頭で難しく考え、思えば思うほど気になってしまうものだ。


怜と目が合えば、不自然にすぐそらした。


「おっ!優奈、歩ち〜〜ん!こっちで乗り換えだよ」


雅也は唯とうっとおしいくらいベッタリくっつき、手招きしだす。


こいつらありえねぇ。うざっ。


この間まで優奈の彼氏だったのに、こんな簡単に心変わりしてしまう雅也の気持ちがやはり理解できない。


そして優奈の前でいちゃつける唯も同類だ。


「唯、嫌いだわぁ~」


優奈を肘でつつき、小声で呟くと


「仕方ねぇよ」


優奈は何も気にしていないのか、あっさりとした返事が返ってきた。


優奈にとって雅也は所詮“過去の男”なのだろう。


「これに乗るんだな」


唯達の後に着いて行き無事に電車に乗りかえると、降りる駅へ着いた。


「よう!」


泊まらせてくれる旅館の息子が、自転車にまたがり、あたし達を待っていてくれた。


メガネをかけ、マジメそうな雰囲気の彼は苦手な感じがする。


「ちょっと遠いけど行くか」


雅也の掛け声と共に歩き出したが、太陽の日差しが暑く、手をかざし歩く事30分位。


やっと泊まる旅館に着いた。


中に入ると古びた柱があり、味のある旅館だ。入り口で


「よろしくお願いします」


と、みんな声を上げ、ギーギーきしむ階段を登って行く。


「ここ俺の部屋。んでみんなで寝る部屋はあっち」


指さす方向を確認すると、とりあえず旅館の息子の部屋に荷物を下ろし、各自適当に座った。


「おおっ!プレステだ!」


雅也が目を輝かせ、すぐゲームに飛び付くと


「おぉ~!やろうぜ」


怜も声をあげ、男三人はゲームにかじりつく。


「まったく何やってんだかね」


「歩ってば。し~っ」


男共のはしゃぎように冷めた口調でいると、優奈は背中を突っつき止めに入る。


変に気を使う優奈はあたしより女らしい。