それからいろんな思いが入り交じった状態で何日か過ごし、それでも求めるものは間違いなく近くにあったから、毎日平気な顔をしてあたしは優奈の家へ遊びに行った。


なんら変わらなく見えるよう、明るく会話を交わす日常。


明るく振舞うオーバーリアクション。


「ウケる!」


「だろ、はははっ!!」


「んじゃ、めんどくせぇからあいつ潰しにかかる?」


「おめえは、喧嘩好きだよな。このヤンキー女!」


たわいもない会話から始まり、仲間の話、先輩の話、最近ムカつく奴の話で女二人夜まで盛大に盛り上がる。


十代なりの尽きないアホ話。


ネタはいっさい枯れない。


自分ら最強なんてとんだ勘違いまでしてた。


そんなあたしは、誰にも負けないくらい優奈が大好きだ。


~親友~


そう呼べるのは彼女しかいないとわかってたし。


他の奴なんかどうでもいい。


誰が死のうが生きようが関係ない。


ただ、優奈だけは何があっても失いたくなかった。


けど、女二人の楽しい時間はつかの間で、いつもの時間は否応なく近付いてくる。


優奈の一声が、いつものサインとなって…


「怜に電話かけなきゃ」


優奈は決まった時間に時計を見て、必ず怜に電話をかける。


恋人同士の二人が電話をかけるのは当たり前の話。


だが、あたしにとっては笑えなくなる逃げ出したくなる時間になっていた。


電話を通し進む二人の会話。


近くで聞いている分には、いい感じに聞える。


ムカつく位、いい感じに。