「ってかさ…歩ちゃんウケる…」



隣にいる怜は膝を抱え、上目使いで柔らかく微笑み、こっちを見た。



ただ見られただけなのに、無性にくすぐったいと言うか、恥ずかしい…



「怜君ひどい!」



あたしは不自然なくらい動揺し、大袈裟に手をパタつかせ目をそらした。



別に告白されたわけじゃない。



別に何かされたわけでもない。



それなのに、瞬く間に心を奪われてしまった感じだ。



甘酸っぱいような、かと言って不愉快ではなく心地いいような…



そんな二人が照れくさい雰囲気に飲まれている時、後ろから刺さる感覚の視線を感じた。



振り返ると、優奈が目をそらさずこっちを見ている。



優奈の視点の先。



それはあきらかに、怜へと向けられていた。



ーーーもしかして優奈、怜君気に入ったんじゃ…



感が働いたあたしは、優奈に大きく手を振り、笑顔を見せ



「怜君。みんなのとこ行こう!」



「あ、うん」



「優奈ぁぁ~!!」



二人きりの空間を故意に壊し、あたしはその場から立ち上がってみんなの元へ向かった。