「なぁ、これから何する?」



顔を見渡し、雅也はみんなに問いかけた。



「う〜〜ん…何しよっかね。まずはそこら適当にぶらつくかぁ?」



「だな。どこ行きたいとかねえし」



「賛成ぇぇ」



「俺も~」



飛び交う賛成の嵐の中。



あたしが優奈と手を繋ぎあてのない道を歩き出すと、男三人も当たり前のように後ろをついて歩き出した。



途方にくれ、考えながらあてのない道を前に前にひたすら歩く。



すると、気付けばいつの間にか待ち合わせした駅付近の飲み屋街に入り込んでいた。



朝帰りの親父や、飲み屋のお姉ちゃん。



酒臭い街並みに、カラスの鳴き声。



あたしが周りに圧倒され、十代には異世界な大人の匂いを漂わす街並みに気を取られていたら



「看板見てみ!あははっ!」



突然優奈が指をさし、大声をあげ笑い出した。



“こしかけ”と店の白い看板にデカデカと載る黒い文字。



あたしが優奈の笑いのツボがわからぬまま口をあけていると



「腰かけたら飲まずに帰るんかね。ぶっ」



「はっ?はぁぁぁ!?」



「うけるぅぅぅ!!!」



「はっ?何言ってんのお前は!?え、こしかけ。こしかけ?ん?…ぷっ、ぷははは!!!」



ばかうけしている優奈の顔がおかしく、ついつられて不覚にも笑ってしまった。



「優奈、頭大丈夫か?でもこしかけはねぇよな」



「だな」



「やべぇ!!!!ウケる!」



一斉に笑いが起こり、にぎやかなままあたし達は飲み屋街を抜けた。