まだ犯人が希望ちゃんと分からなかった頃、私は悠ちゃんに嫌がらせの内容を保健室で話したことがあった。

 なにを根拠に悠ちゃんが彼女を犯人だと断定したのかは分からないが、答えを聞くまでもなく、彼は彼女を問い詰めたのだろう。

 悠ちゃんなりに、私のためにしてくれたことなのだろうけれど、責めた相手が悪かった。


 赤の他人に説教するのとはわけが違うのだ。

 希望ちゃんにしてみれば、彼氏に自分の知られたくなかった闇の部分を暴かれ、恋敵である私を擁護され、自分は彼氏に敵認定されて一方的に責められている状況。

 どう考えても逆上するだろう。

 失望するだろう。

 絶望するだろう。

 悠ちゃんに女心を理解しろという方が無茶な話だが、それでも女の子は、どんな状況でも彼氏には味方でいてほしいものだ。

 それが悪の立場だったとしても。

 愛していてほしいものなのだ。


「……責めたというか、お前に嫌がらせをした理由を知りたくて」


「知りたくて、希望ちゃんに何を聞いたの」


「どうしてこんなことしたんだよって。そしたらあいつ、あっさり認めて……それでも好きって言ってくれる? って言ったんだ……俺、答えられなかった」


 ほらやっぱり。

 そこは嘘でもイエスと言うべきところだろう。

 きっと、希望ちゃんの心はそこで折れたのだ。

 心が折れ、悠ちゃんに失望した。