「どうした、真子ちゃん?」
風船を見てばかりのわたしを見て、敦也くんは首を傾げた。
「いや、風船いつのまに配られてるんだなぁって」
わたしは、丸くてふわふわしたパステルカラーの集まりを指差しながら言った。
小さな子供達が集まってくることで、パステルカラーの束は、どんどん小さくなっていく。
「……欲しいなら、俺がもらって来ようか?」
「ううん、いい。それよりさ」
「うん?」
「マシュマロ、もう1個ちょうだい」
何をお願いしているんだ、と我ながら思って、わたしは、いたずらっぽく舌を出してみせた。
「もちろん!」
敦也くんは、マシュマロをまたひとつ出してくれたので、わたしは受け取って口に入れた。
「あと、もうすぐお昼だから、あのレストランに行きたいな?」
マシュマロを飲み込んでから、わたしは言った。
デパートの近くには、小さなレストランがあって、幼い頃からわたしは、そこのオムレツが大好きなのだ。
「ああ、あそこ?」
「うん。あそこのオムレツ、すっごくふわふわで美味しいから、大好きなの!」
「じゃあ、そこのオムレツ食べに行くか」
わたしは、スカートを揺らしながら敦也くんとレストランに一歩一歩、歩いて行った。