3日が経った。俺は今日も、彼女の後ろ姿を見つけた。
俺は、背後から近づいて、彼女の髪を1束掴む。
「ぎゃあっ!」
やっぱり気づいていなかったか。
それにしても、後ろから近づかれることに気づかないとは、彼女は本当に天然だ。
「もう、何するの! なんでわたしは、淳也くんにこんなことされないといけないのよー」
「まーこちゃんっ」
俺は、わざと甘ったるい声を出して、彼女に話しかけた。
ふふっと、俺は笑った。彼女の顔が、みるみる赤くなっている。
「……! って。そんな甘い声、出さないでよ!」
そう言いすてると、彼女は早歩きをして行こうとした。
「真子ちゃんっ」
俺は、もう一度甘い声で言ってみた。
反応がない。
「真子ちゃーん」
俺は、もっと甘い声を出して呼んだ。
やっぱり反応がない。
「ま、こ、ちゃん」
俺は、更に甘い声を出す。
「鬱陶しいなあ、やめて!」
彼女は、ぱたぱたと足音を立てて走って行ってしまった。