“マスターオリジナル(気まぐれブレンド)”

馴染み深いメニューが並ぶ中、たった一つだけ、他では見たことのないメニューが、ひっそりと一番下に記されている。


「気になりますか?」


突然かけられた声に驚いて顔を上げると、微笑むマスターと目があった。


「その時の気分で、特別にブレンドしたものをお出ししているんです。あっ、もちろん味は保証しますよ」


もう一度メニューに視線を落としてみるが、やはり吸い寄せられるようにそこに視線が向かってしまう。

また顔を上げてマスターの笑顔を見つめて、それから再びメニューに視線を落とし、意を決して“マスターオリジナル(気まぐれブレンド)”を注文した。


「かしこまりました。少々お待ちください」


一礼して去って行く姿にもどことなく風格が漂っていて、ドラマでしか見たことはないが、きっとお金持ちの家で働いている執事はあんな感じなんだろうなと思ったりした。

うん、あのマスターは執事服が絶対に似合う。