律の言葉にハッとする。


そういえば、今日の律は少しだけ目が腫れているように見える。


もしかして……昨日泣いてた?


私にあんなメールを送りながらも、影では泣いていたのかもしれない。


「ごめっ……私、こんな事いうつもりじゃっ」


「もういいよ。どうせ、誠先輩のことも本気じゃなかったんでしょ?」


え!?


なんで?


なんで知ってるの?


困惑する私に、律が目を細める。


「やっぱり、図星だ」


「律……っ」


「碧、本心突かれて困ったときは目が細くなって、黒目がウロウロするの。知ってた?」


律が、いっそう冷たい目で私を見る。


どうしようっ!


「違うの、私今日そのことをちゃんと言おうと思って!」


「ちゃんと言おうとして、なんでこうなるのよ」


「それはっ……」


それは……。


「自分が素直になれないからって、人に八つ当たりしないでよ!」


八つ当たり……。


そうかも、しれない。


律に何て言えばいいか、誠先輩に何て言えばいいか。
考えても考えてもわからなくて。


私の頭の中はグチャグチャなのに、律はいつでも明るくて……。


「誠先輩の事、もっとちゃんと、碧の口から聞きたかったよ……」


律はそう言い、もう口を開いてはくれなかった――。