誠先輩と付き合い始めてから、3日がたっていた。


まだ私を心配してくれている先輩は毎日迎えに来てくれていて、今朝は親と挨拶も交わしていた。


印象は、すごくよかったと思う。


誠先輩と手をつないで歩くことはまだ慣れないけど、この3日間でわかったこともある。


先輩は、自然とリードしてくれる人だと言うこと。

ただ手をつないで歩くんじゃなくて、自転車や車に気づかないとき、安全な方へと手を引いてくれる。


そして、先輩だからこそ押し付けがましくない優しさがとても似合うと感じた。


「う~ん、これでいいかな?」


私は、鏡の前で首をかしげた。


今日は、誠先輩と付き合いはじめてから最初の休み。


つまり土曜日だ。

私は秋らしく茶色っぽいセーターを着ていくか、もう少し明るい色のセーターを着ていくかで悩んでいた。


「碧、入るよ」


コンコンとノックの後、私の返事も聞かずにお母さんがドアを開ける。


今日は仕事が休みなのだ。


「あら、今日は出かけるの?」


「うん。ちょっとね」


そう言いながら、私は鏡の前で再びうなり声をあげる。


そんな私に、「もしかして、デート?」と、頬を緩ませて聞いてくる。


『デート』いう単語に一瞬心臓が飛び上がり、それとほぼ同時にカッと顔が赤くなる。


「あら、図星なの? 相手は誰?」