そうしていると、しばらく鳴り続けたチャイムはピタリと止まった。


ホッとして息を吐き出し、布団からソッと顔をのぞかせる。


居留守を使うのも、楽ではない。


その時だった、次に聞こえてきたのは「碧ちゃん、いないの!!」と、私を呼ぶ声。


これにはさすがに驚いて、ベッドから飛び起きる。



誰!?


と、一瞬硬直するが、その声には十分に聞き覚えがあった。


「碧ちゃん!! 俺だよ!!」


玄関先で、大声で私の名前を呼ぶのは、誠先輩だ。


「今出ます!!」


私は自分の部屋の中でそう返事をして、パジャマの上にカーディガンを羽織る。


この顔のままじゃやばい。


そう思い、赤くなった目に目薬をさす。


余計に泣いてみえるかもしれないけど、仕方がない。


私はパタパタと早足で玄関へと向かった。


「碧ちゃん、よかった」


私が玄関を開けると、ホッとした表情の誠先輩がいた。


「誠先輩……」


「突然来てごめんね? 体調どう?」


そう言いながら、誠先輩はコンビニの袋を私に手渡してきた。


中を見ると、プリンやバナナが入っている。


「ありがとうございます。大分、よくなりました」


「そっか。よかった」


本当に、自分の事のように安心した笑顔になる。


「心配して、わざわざ来てくれたんですか?」


時刻は、まだ4時過ぎ。


学校が終わってから、すぐにここまで来てくれたのだ。