最低な秋祭りが終わってから、私はしばらく学校に行けずにいた。


夜、冷たい風の中泣きながら走り回った私は、見事に風邪をひいてしまったのだ。


すぐるの事を思い出すと学校なんか行く気にもなれなかったから、一日中ベッドの中で過ごしていた。


熱が出て、ボーッとしている内はまだすぐるへの気持ちを忘れられる。


けれど、少し体調がよくなると、私の頭の中はあっという間にすぐる一色になってしまった。


誰もいない家の中、一人で枕に顔をうずめしゃくりあげる。


こういうときは、律からの励ましもメールも役にたたない。


世界中で一番不幸だとか、そんな甘ったれた考えで支配されてしまうのだ。


こんなに胸が痛くて、呼吸さえ苦しくて、なのに、何で私は生きているんだろう?


どうして、お腹がすいちゃうんだろう?


そんな自分がすごく嫌で、また涙が溢れ出す。


何度目かの涙を拭いたとき、玄関でチャイムが鳴った。


「誰……?」


鼻声でそう呟き、顔を上げる。


けれど、泣いたばかりの不細工な顔で人前に出るなんてできない。


私は少し迷ったが、また布団にもぐりこんだ。


相手には悪いと思うけど、留守のフリをしよう。


そう思い、目を閉じる。


けれど、チャイムの音は止まらなかった。


ピンポーン、ピンポーンと、続けざまに何度も鳴る。


私は頭から布団をかぶり、キュッと耳をふさぐ。


聞こえないフリ。


聞こえないフリ。