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すぐると過ごす2時間は、あっという間だった。


辺りはずいぶん薄暗くなり、もうすぐ花火が上がる。


「碧、S王子の所に行ったきり戻ってこないんだからっ!!」


プリプリと頬を膨らませる律に、「ごめんごめん」と、苦笑いする。


スカートのポケットには、あのスーパーボール。


すぐるの言葉を思い出すと、自然と笑みがあふれ出す。


「なんか幸せそうだしぃ」


笑顔のままの私に、今度は唇を尖らせる。


「律は、幸せじゃないの?」


「だって……。なんか最近碧ばっかりモテてるしさ」


確かに、私と律なら律の方が可愛い。


目は私の2倍は大きいし、足は細くてきれいだ。


今までモテていたのも、当然律の方。


「律は、いい人いないの?」


私は、再びポテトを揚げながら聞いた。


すると、律は軽く俯き「気になる人なら……」と、呟いた。


「え!? うそ!?」


てっきり今は全然そんな話はないと思っていた。


自分の事ばかりが頭の中で一杯で、律の片思いを見抜けなかったのだ。


「誰? 誰誰誰!?」


「あっ……」


私の質問に答える前に、律は目の前に立った人物に頬を染めた。


ん?


律の視線を追うと……誠先輩!!


お客としてたっている誠先輩に、私は慌てふためく。


「いらっしゃいませ」


律の、いつもより数段女の子らしい声が隣から聞こえてくる。


「ポテト一つ頂戴」


「はい」


頬を軽く染めて、手際よくポテトに塩を振り掛ける。


律……もしかして……?


「ありがとう。碧ちゃん、頑張ってね」


誠先輩は律からポテトを受け取り、私に声をかけてから背を向けた。


律は、その後姿を見つめている。


恋してます。って、瞳で……。