それから、1週間ほどがたった頃。


近所ではお祭りが始まっていた。


土曜日から2日間、この辺では大きな秋祭りが開催されるのだ。


そして、私たち西雅高校の生徒は全員参加が原則とされている。


1-B組は、フライドポテト担当。


で、すぐるの1-E組は……そこから大分離れた場所でスーパーボールすくいをしている。


「碧~、油温まったよぉ」


ハッピ姿の律が、そう言う。


「オッケ~」


私は、冷凍ポテトの袋を破いていく。

まだ祭りが始まったばかりだけど、もう沢山の人が集まってきていて、屋台の前の道が埋まり始めていた。


「ねぇ、碧。S王子とはどうなったの?」


「あぁ、うん。一応はすぐるの気持ち聞けたよ」


少し照れながらそう言うと、律は「何て? 何て?」と、興味津々に聞いてくる。


本当に、人の事となるとすぐに首を突っ込みたがるし、詮索したがる性格だ。


「怒られちゃった」


「え?」


「『好きでもない女を恋人にすると思ったのか』……って」


そう言うと、律はポテトの袋をキュッと胸で握り締め「きゃ~っ!!」と、黄色い声を上げた。


「いいなぁいいなぁ碧。S王子に愛されてんじゃん!!」


そう言い、バシバシと背中を叩かれる。


愛されてる……。


ジンワリと心の中に広がり、ポッと頬がばら色に染まるような言葉だ。


うん。


そうかも。


私、すぐるに愛されてるかも。


「あ……そっか、だから?」


「うん?」


律が、意味深かげな表情に私をマジマジを見てくる。


な、なに?