「あのね……」


けれど、いざ話すとなると勇気がいる。


モジモジと手悪さをし、うつむく。


まるで、怒られた小学生みたいだ。


「どうした?」


すぐるが、私の顔を覗き込む。


「すぐる……」


「うん?」


「私のこと、どう思ってるの?

すぐる、一度も『好き』とか言ってくれてないよね?
私、振り回されてるだけなのかなって思って」


勇気を出して、思っていた事を一気に吐き出す。


そして……沈黙が流れた。


すぐるからの返事がない。


私は、恐る恐る顔を上げてみた。


「すぐる?」


そこには、いつにも増して冷たく、キツイ顔のすぐるがいた。


なに?


なんでそんなに怖い顔してるの?


私、なんか悪いこと言った!?


「碧」


「え?」


「俺が、碧をどう思ってるか知りたいか?」


「うん……」


うなずく私に、すぐるは大きなため息を吐き出した。


「俺が、好きでもない女を恋人にするとでも思ったか?」


え?


だって……。


「好きでもない女を保健室に連れ込んで、キスすると思うのか?」


「だって、すぐる……。色々噂があるみたいだしっ!」


っていうか、怖いよ。


そんな、にらまないでよ。