強いショックと、森山すぐるの顔が頭の中をグルグルと駆け巡り、体中が熱を出したようにほてってくる。


「碧、あんた顔赤いよ?」


そう言い、涙目の私を律が覗き込んでくる。


当たり前でしょ?


突然あんなことされたんだからっ!


そう思っても、しゃくりあげる喉が声を詰まらせる。


あんな目にあった上に、メロンクリームパンも食べられなかった!!


「メロンクリームパン……」

どうやら、私はパンが食べれなかったことの方がショックだったようで、森山すぐるの顔が一瞬にして頭の中から消え去った。


その代わり、今度はメロンクリームパンが駆け巡る。


甘くて、フワフワで、中には生クリームがたっぷり入ってて……。


ゴクン。


と、喉を鳴らす。


そういえば、お昼を食べてなかった。


パニックしたままの頭でそれを思い出すと、とたんにお腹がグゥ~と悲鳴を上げた。


「はい。メロンクリームパンはもうないけど、焼きそばパンならあるよ」


そう言って、律が私に焼きそばパンを差し出してくれる。


校内で2番目に人気のあるパンだ。


私はそれに飛びつくと、「律……ありがとぅ~」と、律に抱きついたのだった。