すぐるの部屋に通されると、以前来た時と変わらない光景がそこにあった。
真新しく買い換えたマンガ本が、元通りに並べられている。
パタンと、背中でドアが閉められる音がしたとたん、私は後ろからすぐるに抱きしめられた。
「ちょっと、すぐる」
「碧。今日本当に大丈夫だった?」
「え?……あぁ、うん」
うなづく私の頭を、すぐるがこぶしで軽く叩いた。
「痛っ!!」
「お前が強いのは知ってるけど、俺の前では強がるなよ」
そう言い、私の体をトンッと押してベッドに座らせた。
まだ、布団が暖かい。
すぐるは私の隣に座り、突然、キスをしてきた。
すぐるのキスには少しはなれたけど、雰囲気もなにもない中で突然されるのは焦る。
慌てて身を離そうとしたけれど、そのままベッドへ押し倒されてしまった。
この状況、パーティーの時と同じ……。
すぐるが唇を離してくれなくて、抵抗ができない。
わざとらしくチュッと音を立ててキスを繰り返すすぐるに、私は体が火照り、力が抜ける。
すぐるの唇が、私の唇から離れ、そのかわり首筋に当たった。
「すぐるっ!!」
流されてしまいそうになる手前で、ようやく私はすぐるの体を押しのけた。
「なに?」
すぐるは、止められて不機嫌そうな声を出す。
「聞きたいことがあるんだってば」
「あぁ、そうだっけ?」
早くも、私がここに来た目的を忘れている。
「ちゃんと、私の話聞いて?」
「わかった」
そう言うと、すぐるは机の椅子に座った。