いぢわる王子様

真っ白な天井が、まるで今の自分のようだった。


家に帰って、ベッドに寝頃がって、もう何時間もこうしている。


そろそろ親が帰ってくる時間なのに、起き上がることもできない。


『すぐるにとってあなたが特別なワケじゃないわ。勘違いしないであげてね?』


清子さんの言葉。


『碧、完全にS王子に惚れちゃってるじゃん』


律の言葉。


『清子のこと、責めないでやってほしいんだ』


すぐるの言葉。


そして……


『俺は、碧ちゃんが、好きだ』


誠先輩の言葉……。


ゴロンと寝返りを打って、枕に顔をうずめる。


今まで付き合ったことなんてなかった。


告白されたことなんて、なかった。


なのに、この数週間に2人の人に告白されて、キスされて、イヤガラセまで受けて……。


「もう、わかんない」


色々ありすぎて、どうすればいいかわからない。


何も考えられない。


また悲しくなって、涙が出る。


普通、こういうとき彼氏がいたら電話とかメールとかして慰めてもらうんだろうな……。


そう思い、机の上の携帯電話を見る。


そういえば、私からすぐるに電話とかしたことなかったっけ。


すぐるは、今日みたいに毎日放課後にメールをしてくれていた。


私は、それに返事をするだけ。


でも、すぐるの事で傷ついてるのに、本人に電話するなんておかしいよね……。


鼻をグスグスとすすりあげ、ノッソリとなまけもののように起き上がる。


「とりあえず、着替えなきゃ」


いまだに体操服のままなのに気づき、部屋着へと着替える。


もちろん、のそのそと、時間をかけて。