いやがらせの犯人はわかった。


でも、それをすぐるに言ったら……、すぐるはどうするだろう?


彼氏らしく清子さんを説得してくれる?


それとも……?


「ね、もしかしてコレ君の?」


携帯電話の画面に視線を落としていた私に、先輩はそう言った。


「え?」


顔をあげ……一瞬、息を飲んだ。


さっき捨てたばかりの、私の制服だ。


「どうしてこれを!?」


私はすぐに先輩からそれを奪い取り、カバンの中にグシャグシャにして詰め込む。



見ていたくない。

「ごめん。偶然見つけてさ」


だからって、普通拾う?


私は、先輩をにらみつける。


冷たいか風が、2人の間に流れて行った。


「自己紹介が遅れたね。俺は、滝野誠。君は、山本碧ちゃんだよね? 制服のポケットに生徒手帳も一緒に入ってた」


そういわれて、一緒に捨ててしまったことを思い出す。


もしかして、それで拾ってくれたの……?


「実はさ……」


誠先輩の表情が、少しだけ寂しそうにかげる。


「こういうの、俺前にも見たんだよね……」