バンッ!!と激しく扉が閉められた後、私は制服を両手に抱きかかえたまま、その場に膝をついた。


悲しいとか、こわいとか。


そんな単純な感情じゃなくて、なんだか沢山のものが入り組んだ思いが胸の奥からあふれ出す。


どうしよう、泣きそう。


さすがの律もかける言葉がみつからないようで、無言のまま私の背中をさすっていた。


なんで、こんなことされなきゃならないの?


なんで、私なの?


すぐるは、どうして私を選んだの?


今までの……あの写真の子達も、清子さんに同じようなことされてたの?

次々に浮かぶ疑問を、すぐるへぶつけたい。


こんな思い、耐えられない。


でも……。


「……清子さん、きっとすぐるの事好きなんだね」


私は、そう呟く、


単純に考えれば、その答えに行き着く。


好きな人をとられたから、イヤガラセをする。


最初に、キツイ事を言われた瞬間からわかっていたことだ。


「幼馴染、だもんね。清子さんと、すぐる……」

きっと、私の知らないすぐるをたくさん知ってるハズだ。


幼い頃のすぐるとか、小さな癖とか。きっと数え切れないくらいの、すぐるのいろんな顔を知ってる。


「碧、気にしないほうがいいよ」


律の言葉に、私は愛想笑いを浮かべることしかできなかった。


頭がよくて、すごく美人。


そんな清子さんに、私が勝てるワケがない。


勝負なんて、できっこない。


清子さんのライバルになるなんて、そこまでできた人間じゃない。