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今、私たちは更衣室の中に3人きりだった。


他には入ってこれないように、鍵をしめている。


「清子さん、授業の途中で抜けたわよね……?」


私の言葉に、清子さんの瞳が少し揺れた。


「えぇ」


「これ、やったの……あなた?」


私は、恐る恐る無様な姿になった自分の制服を指差した。


すると、清子さんは「そうよ」と、表情一つ変えず、自分の仕業だと認めたのだ。


唖然とする私に、律が「どういうつもり?」と、一歩前へ出る。


「『どういうつもり?』その言葉、そっくりそのまま言うわ。碧さんにね」


「どういう……意味?」


たじろく私に、清子さんは腕組みをして軽く鼻を鳴らした。


まるで、すぐるの態度がそのまま清子さんにうつってしまったように見えて、胸の中がモヤモヤとする。


「私、言ったわよね? 勘違いしないであげてって」


「……すぐるのこと?」


「あら、もう呼び捨てなの? これだから忠告したのに」


「これは、呼び捨てにしろって言われたから」


「だからってすぐに言うこと聞いて、彼女気取り?」


清子さんが、私の肩をいたいほどにつかむ。


「もう一度言うわ。すぐるにとって、あなたなんか特別じゃないの。立場を考えなさい」


それだけをはき捨てるようにして言うと、清子さんは私を強引に押しのけ、更衣室を出た――。