ホール中がきらびやかすぎて、紺色の制服がやけに浮いている。


それだけで十分居心地が悪かった。


「ねぇ、すぐる。着替えなくてもいいの?」


真っ白なテーブルの上に並べられた料理を取っていくすぐるに、声をかける。


「着替えたいのか?」


「そう言う意味じゃないけどさ……ほら」


と、辺りを見回す。


「確かに、私ら浮いてる」


律も、何度か頷いて言った。


「よし、じゃぁドレスを着ればいい」


ドレス!?


「来い」


「ま、待ってよ!!」


人ごみの中ズンズン歩いていくすぐるを追いかけるだけで、私たちは精一杯。


けれど、すぐるは歩きながら一言二言ずつ挨拶をしていく。


本当に、森山すぐるって何者よ――!?


☆☆☆

衣裳部屋というところに通されたときには、私と律は肩で息をしていた。


「すっごい、人」


律の言葉に、私は何度も頷く。


「どれでも、好きなのを選べ」


すぐるの言葉に顔を上げると……、そこには、ドレス。


ドレス。


ドレス。


ドレス……。


山のようなドレスがズラーッと並べられていた。


「なに……これ」


唖然をして聞く私に、すぐるがピンク色のドレス私に突き出してきた。


思わずそれを手にとってから「え?」と、首をかしげる。


「碧はそれを着ろ」


え?


これ?


そういわれて、私は手の中のドレスをマジマジを見る。


薄いピンク色で一見すると可愛いのだけど、背中が広く開いていて、丈も短い。


これ、露出高すぎない!?


「うわぁ、セクシーじゃん!!」


それを見て、律が目を輝かせる。


「けど、私には無理だよこんなの」