☆☆☆

結局、きてしまった……。


目の前には、あの豪邸が建っていた。


初めてこの家を見る律は口をポカンとあけて、目をパチクリしている。


「こんな家だとは知らなかった……」


「でしょ? パーティーって、絶対普通とは違うよ」


コソコソと話す私たちを尻目に、すぐるが大きな扉を開けた。


その瞬間、私たちは同時に息を飲んだ。


目の前に広がるホールには、大勢の人。


その大半が外人で、みんな豪華なドレスを身にまとっている。


まるで、おとぎ話なんかで見るような舞踏会だ。


思い思いに飲んだり食べたりしていた人たちの視線が、いっせいに集まる。


私は、緊張から律のスカートを握り締めた。


律も、私のスカートをギュッと握り締めている。


「オォ! スグル!!」


金髪で、白いタキシードを着た男がすぐるに微笑みかける。


「やぁ、ルイス」


すぐるも、その青年に挨拶をする。


ルイス!?


なにこれ、マジで世界が違うんですけど!?


私は、律と2人してたじろく。


「ちょっと、なんか私たち場違いじゃない?」


「だから嫌だったのに、律が行きたがったんでしょ!」


「っていうかさ……、森山すぐるって一体何者!?」


確かに、そうだよね……。


16歳の誕生日にこれだけの人が、しかも外人が集まる。


そんなこと、私たちには絶対にないことだ。


「みんな父親関係の人間だよ。一応、俺も知り合いだけどな」


私たちの心の中をのぞき見たように、すぐるがタイミングよく説明をしてくれた。


「へぇ……」


としか、返事ができない。