パーティーは、いたずらというショックな事件が起きたその数時間後には開かれていた。


「碧、今から家にこないか?」


ゴミ箱の中身を人の少ない学校の裏庭で、すぐるが『偶然』持っていたというライターで燃やし尽くしてからの、一言。


「へ?」


私の隣には、律もいる。


「俺、今日誕生日なんだ」


「誕生日!?」


そんなこと全く知らなかった私は、驚いた後に何の準備もしていないことに気づく。


「私、知らなくてプレゼントとか用意してない」

「言ってないんだから、知らなくて当たり前だろ」


すぐるはそう言い、灰になった写真を靴で踏みつけた。


バラバラに原型をなくした写真が、風に乗って飛んでいく。


「パーティーってどんなのですか?」


律が、興味津々に聞いている。


元々、パーティーやお祭りが大好きで、そういう行事には目がないのだ。


「普通のだよ」


そう言うすぐるに私は思う。


あんな豪邸でする『普通のパーティー』は、きっと私たちからしたら普通じゃない。
「いつからやるの? ぜひ、行きたい!!」


目をキラキラと輝かせる律は、もう止められない。


私は小さくため息を吐き出して、携帯電話の時計を見た。


もうすぐでホームルームが終わる。


しかし……。


「今から」


と、すぐるが一言言ったのだ。


「今から!?」


律が、更に目を輝かせる。


「あぁ。俺の誕生日は毎年1日中かけてやるんだ。今頃、父親たちはワインでも飲んで騒いでるよ」