「隠し切れてないんだよ」


そう言い、アッサリとすぐるに見つかってしまったゴミ箱。


「なんでもないよ」


慌てて、手を振る。


でも、そんなことで騙せれるすぐるではない。


半場強引に押しのけられて、ゴミ箱の中身を確認された。


「なんで隠す?」


ゴミ箱から顔を上げ、すぐるが言う。


目つきが、こわい。


「なんでって……」


そう言われても、うまい返事ができない。

「隠すな」


「……っ! すぐるが昨日、絶対に負けるなって――」


「馬鹿っ!! 負けるな、とは言ったけど、『隠せ』とは言ってないだろ!? こういうことは、全部言え! いいな?」


怒鳴るように言われて、一瞬体がすくむ。


けど、そんなすぐるの瞳は心配の色が見え隠れしていた。


あぁ、そっか。


すぐる、私のことをすごく心配してるんだ。


「……わかった」


コクンとうなづくと、ようやくすぐるはホッとしたように肩の力を抜き、微笑んだ……。