私は、散らばった写真を両手一杯に持って、それをゴミ箱の中へと戻した。


「こんな手の込んだ嫌がらせ、初めてだよ」


ハハハッ!


と、乾いた声を上げて笑う。


「碧、笑い事じゃないよ?」


わかってる。


わかってるよ?

でも、すぐるが昨日言ったんだ。


『何があっても、俺だけを信じてろ。


そして……俺のいない時に何かが起きても、絶対に負けるな――』


その後ね、苦しいくらいのキスをしてくれた。


あの言葉、きっとこうなることを知ってたんだと思う。


だからね、私……。

「碧」


その言葉にハッとして私と律は振り向いた。


階段の下ですぐるがこちらを見上げている。


「すぐる!?」


もうとっくの前にチャイムは鳴っている。


なのに、なんでこんなところにいるの?


困惑している私に、すぐるが近づいてきた。


咄嗟に、ゴミ箱を隠す。