考え込んでいる私に、律が横からわき腹をつついてきた。


「なに?」


「たとえばさ……S王子のファンから、とか」


と、楽しそうにニヤニヤと笑う。


その瞬間、ポンッと頭の中にすぐるの顔が浮かんだ。


私はそれをすぐにかき消し、「そんなことないよ」と、否定する。

じゃぁさ、ゴミ、確認してみなよ」


「ゴミ?」


「そ。その中のゴミだよ」


私は、持っているゴミ箱に視線を落とした。


そういえば、この中に犯人のヒントがあるかもしれないんだ……。


私たちはチャイムが鳴る前の教室から、屋上へと続く階段の一番上へと移動した。


屋上への扉は普段閉められているため、滅多に生徒がこない場所だ。

「いくよ……」


私は一呼吸おいてから、ゴミ箱を逆さまにし、中のものを撒き散らした。


律がすぐにしゃがみこみ、ゴミをあさり始める。


はたから見たら、すごく奇妙な光景だろう。


「紙ばっかりだね」


パッと見ると、ゴミのほとんどがクシャクシャに丸められた紙だ。


けれど、律は首をかしげた。


「ホコリが付いてないよね」


「あ……」


そういえば、ゴミ箱をひっくり返したのに、小さなゴミやホコリが全く舞い上がらなかった。


私は、紙の一つを手でつまみあげ、カサカサと開いていく。


普通の紙より、大分しっかりした手触り。


「え……?」


次の瞬間、私は言葉を失った。


「どうしたの?」


そう言い、律が私の持っている紙を覗き込む。


「これっ!!」


驚いて目を見開き、口をパクパクさせる律。


うん。


私も同じ感じ。


だって、その紙は写真で、それで、そこに写っていたのは……。