いぢわる王子様

バンッと音を立てて後ろのドア開いたのは、それから数分後のことだった。


その音に驚き、一瞬飛び上がるようにして振り返る。


「へ……?」


私は、そこに立っている人物に唖然とした。


な……っ!!


すぐるが……。


ついさっき、真っ白なベッドの上で眠っていたすぐるが、私の目の前に立っている。


出会ったときのような、キツイ目で、だけどやわらかい視線をこちらへ向けている。


これは何?


夢?


そうだ。きっと夜中に呼び出されたから眠っちゃったんだ。


そう思い、自分の頬を思いっきりつねり上げる。


「痛いっ!!!」


そう叫び、今度は痛みでなみだ目になる私を見て、すぐるがフワッと微笑んだ。


王子様みたいな、笑顔。


「碧、お前って変」


死んだはずのすぐるに一言そういわれて、ムッとする。


「なによ!すぐるが死んだって聞いて、あわてて来たんだからっ!!」


「そっか」


そう言うと、すぐるは私と同じように座り込み、そして、抱きしめてきた。


暖かい、体温。


整っている、呼吸。


そして、確かな鼓動。


生きてる……。


すぐるが、生きてる……。


また、こみ上げてくる涙をグッと我慢する。


すぐるの体を押しのけ、その瞳をにらみつけた。


「どういうこと?」


何!?


見下されている。


そう思った私は、すぐるの頬を思いっきりひっぱたいてやった。


静かな部屋に、パチンッといい音が響く。


それでも、私の腹の虫はおさまらない。


冗談にも、やっていい事と悪いことがある。


「どういうつもりよ!!」


怒鳴る私に、すぐるがシーッと、人差し指を立てて見せた。


「オヤジ、寝てるから」