私は、教科書もノートと一緒に引き出しの中へ戻した。


なんとなく、捨てたくなかったから。


続けて、2番目の引き出しを開ける。


「封筒……?」


そこには、茶色い封筒が一枚入っていた。


首をかしげ、それを手に取る。


これって、見てもいいのかな?


なんだか、見てはいけないような気がして、部屋の中をキョロキョロと見回す。


しばらく迷ってから……。


えぇい! 見ちゃえ!


決心して、私は封筒をあけた。


その瞬間――。


唖然とする。


なに、これ……。


中から出てきたのは、女の子とすぐるのツーショット写真。


けど、さっきのとは違う。


何枚も何枚も出てくるソレは、全部違う女の子たちだった。

なに?


なんなの?


頭の中が、パニックを起こす。


すぐる、こんなたくさんの子と付き合ってたの!?


私は、律の言葉を思い出す。


『すごく有名だよ』


そっか。


そういう意味だったんだ……。


写真に写る女の子たちは、誰もみんなかわいくて、おとなしそうな雰囲気をしていた。

「嘘つき……」


気の強い女を探してたって、言ったじゃん。


そこには、私とは正反対な女の子たちしかうつっていなかった。


私は……。


いけないと思っていたけれど、とめられなかった。


写真を全部封筒へしまうと、それをまるで雑巾をしぼるようにグシャグシャにし、そのままマンガ本と一緒にダンボールの中へ投げ入れた。


なんでよ……。


なんでこんなことになるの?


胸が、痛い。

そのまま床にペタンと座りこんで、ついに泣き出してしまった。


まるで小学生のようにしゃくりあげて、声を上げて。


なにがS王子よ!


なにが契約よ!


好みでもない私にわざわざ声かけて……。


ファーストキス奪って、好きにさせといて!!