「すぐる……?」


普通に寝ているのと何も変わらない、すぐるの顔。


少し微笑んでいるようにも見えるけど、その肌は青白く、触れることもできなかった。


本当に……?


本当に死んじったの?


昼間、あれほど元気だったじゃない。


人のファーストキス奪っといて、女になれとか言っといて……。


私は、下唇をかみ締めた。


ここで、泣いたらダメだ。


すぐるの父親は、私に手伝ってほしいことがあるといっていた。


まずは、それをキチンとやらなければいけない。


少しでも泣いてしまうと、そこからもう何もできなくなりそうだった。


だから……。


「手伝うことって、何ですか?」


私はすぐるから目を離し、森山直樹さんへ向けて、そう言った――。