それは、突然の知らせだった。


机の上の時計は3時を指していて、まだ朝日もあがりきっていない。


真っ暗な部屋の中、携帯電話が鳴り出した。


電話の音量は最大になっていて、私はベッドの中でビクンッと跳ね起きた。


「な……なに?」


いつもバイブレーターに設定しているから、着信音に一瞬首をかしげる。


あ、携帯か。


派手に鳴り響く携帯電話にベッドの中から手を伸ばし、画面を確認する。


着信《すぐる様》


もちろん、私がこんな名前入れるわけがない。


すぐる本人が《様》付けで登録したのだ。


しかも、その時に着信音の設定まで変えられていたらしい。


「なによ、もう」


文句を言いながらも、電話に出る。


「もしもし?」


不機嫌さを隠そうともしない私に、電話の相手は何度か咳払いをした。


『もしもし、山本碧さんですね?』


聞き覚えのない男の声に、私は眉をそせた。


すぐるの声じゃない……。


「そうですけど。……誰?」


『私は森山直樹といいます』


森山直樹?


聞いたことのない名前だ。


私が返事に困っていると、森山直樹と名乗った相手が話しを続けた。