「抵抗は?」


そう聞かれて、私は思いっきり首をふった。


てか、突然すぎるあの状況で抵抗なんてできないよ!


「キスされた後は?」


「後……?」


キスされた後は……、しばらく森山すぐるのあの綺麗な顔に見惚れていた。


こんなカッコいい人が同学年にいたとは知らなかったから。


「やっぱり、抵抗はしなかったかぁ~」


ニヤニヤと口元を緩める律に、私はカッと顔中が赤くなるのがわかった。


「なっなによ!」


「碧、完全にS王子に惚れちゃってるじゃん」


ほれ……!?


彫れちゃって?


掘れちゃって?


わざと違う漢字を当てはめてみたところで、胸の動機はおさまらない。

なに!?


なにこれ!?


自分自身の反応が信じられず、コーラをストローで一気飲みする。


炭酸がツンと鼻にきて、涙が出た。


「おぉ、泣くほど好きか?」


ちゃかしてくる律に、「違う!!」と、全否定をする。


律はそんな私の背中を叩き、「S王子のキスに落ちない女はいないのよ。まぁ、しっかり……食われてきな!」


食われて……!!?


ギョっと目を見開く私を尻目に、律はガハハハハと、豪快に笑ったのだった――。