私は嬉しくなって、その音楽に合わせて体を揺らす。


すぐるは歌を口ずさみながら、買ってきたケーキの箱を開けた。


甘いクリームの香りとバラの香り。


混ざり合って、すこしくすぐったい。


「来いよ」


すぐるはベッドの上のバラを片付けて、その上にあぐらをかいて座った。


「ん……」


ベッドの上ということを、なんとなく意識してしまう。


だって、クリスマスだし……。


すぐるは、ベッドの上でケーキを切り分けてくれる。


テーブルの方がいいんじゃないかと思ったけれど、バラの海を泳ぐベッドの船、というのがすごくロマンチックで、何も言わなかった。


「碧、メリークリスマス」


まだ高校生だから、お酒はない。


飲むのはオレンジジュースだけ。


ほろ酔い気分とか、そんなものには無縁のクリスマス。


でも……。


「メリークリスマス。すぐる」


最高の、クリスマス――。