清子さんとの仲が修復されると、あっという間に12月24日。


街はイルミネーションで彩られ、そこら中にサンタクロースの格好をしたアルバイトの人たちが立っている。


「もうクリスマスだね」


「そうだな」


息が白く、コートの下の体は少しづつ外気で冷えていく。


けど、すぐると握り合った手だけは、暖かい。


「ねぇ、ケーキ買って行こう?」


実は、今からすぐるの家でクリスマスパーティーが開かれるのだ。


毎年なら、すぐるの誕生日パーティーの時のように何十人と集まってくるらしいが、今年だけは、特別だ。


すぐるが、直接父親にお願いしてくれたのだ。


『今年は、碧と2人きりで祝いたいんだ』と……。


と、いうことで私は今とても幸せな気分だ。


すぐると清子さんと弥生さん。


そんな辛い過去を持っていると知ったから、余計にすぐるのことを愛しいと感じることができるようになっていた。


ただSってだけじゃないんだ。


それにはちゃんと、理由があるんだ。


すぐるはすぐるなりに、頑張って恋愛をしてるんだ。


そうやって考えたら、突然のキスも、突然の交際申し込みも、すべてがかわいく見えてくる。


そして、あのスーパーボールも……。


私は、そっとスカートのポケットの中に手を入れた。


いつも持ち歩いている、すぐるの気持ち。