すると、清子さんが私の右手を取った。


「ここじゃ話せないわ」


そう言うと、私を引っ張って歩き出す。


「ちょっと、どこにいくのよ!」


仕方なく付いて歩きながらも、清子さんのペースに飲まれないように必死になる。


でも、硬く握られた手は簡単に振り解くことはできなかった。


そして……連れてこられた先は、女子トイレ。


私は咄嗟に掃除用のホースが蛇口につながれたままになっていることを確認した。


何かあれば、蛇口を一杯にひねって水をかけてやる。


そう心に決めて、清子さんを見る。


しかし……。


「入って」


清子さんは、個室を指差して言った。


「え……?」


私は、身構える。


今度は何をするつもりなの?


そう思いながらも、個室に閉じ込められて上から水をかけられる自分を想像する。


「早く」


全く動こうとしない私を、清子さんが無理やり個室へ押し込んだ。


嫌だ!!


抵抗しようとした、その時。


清子さんは、自分も一緒に個室へ入り、鍵をかけたのだ。


え……?


なに?


想像していたことと違う展開に、私はキョトンとする。


そんな私を見て、清子さんは満足そうに微笑んだ。