「弥生は元々体が弱くて、学校もほとんど行ってなかったんだ。

一日中ベッドの上にいて、すごくおとなしかった」


私は、すぐるの部屋で見つけた写真を思い出す。


みんな、おとなしそうな子たちだった。


あの本に挟まっていた写真の子も、色が白くておとなしそうな……。


あれ?


「すぐる、もしかしてあの写真の子……」


私の言葉に、すぐるは一つ頷いた。


あれが、長浜弥生……。


そうか。


だから、あれが一枚だけ本に挟まってたんだ。


「私あの写真捨てちゃったじゃん……」


「いいんだ。俺がちゃんとケジメをつけたくて碧に捨てさせたんだ」


『碧なら、捨てると思ってた』


あの言葉――!


そんな意味があったんだ……。


「碧、俺言ったよな」


「え?」


「イイナズケがいるって、事」


「あ……うん」


ギュッと胸が締め付けられる。


今度は、清子さんの話しだ。


そう思い、心の準備をする。


ところが……すぐるの口から出たのは、意外な一言だった。


「弥生は、俺のイイナズケだったんだ」


…………え?


頭の中が、真っ白になる。


「や……よいさん……が?」


唖然として、すぐるをまっすぐに見つめ返すことができない。


なんで?


清子さんじゃないの?


じゃぁ……なんで清子さんは、私にあんなイヤガラセを……?


すぐるのイイナズケは、もういないの――?