西雅高校の食堂は、今日も生徒たちで大賑わい。
4時間目が終わってから速攻教室を出て走ってきたのに、お目当てのパンはいつも売り切れ寸前。
校内で一番人気のメロンクリームパンの争奪戦は、毎日毎日全校生徒によって繰り広げられているのだ。
とか言ってる私、山本碧(ヤマモト ミドリ)16歳もその一人。
今年この高校に入学したばかりなんだけど、あのメロンパンの味を一度でも知ってしまうともうやめられないの。
ほっぺが落ちる。
っていうのを、ここに来てから本当に経験したよ。
そんなにおいしいメロンパンは、今は私の隣に歩く清原律(キヨハラ リツ)の手の中にある。
「律、早く早く」
私は、とにかく一刻も早くメロンパンをほおばりたくて、友達でクラスメイトの律をせかした。
「待ってよぉ」
律は苦笑いしながら、私の分のメロンパンを差し出してくれる。
「うわぁい♪ いっただきまぁす♪」
大口を開け、大好きなメロンパンをひとかじりした……その、瞬間。
ドンッ!!
私は目の前にいた誰かにぶつかってしまった。
「いったぁい」
顔をしかめて、立ち止まる。
でも、セーフ。
大事な大事なメロンパンは無事だった。
それを見てホッとし、表情を緩めていると律が私をつついてきた。
「何?」
キョトンとして聞く私に返事をしたのは……律ではなく、ぶつかった相手のほうだった。
「『何?』じゃぁねぇ~だろ」
その声の持ち主を、見上げると、キツイ視線が飛び込んできた。
4時間目が終わってから速攻教室を出て走ってきたのに、お目当てのパンはいつも売り切れ寸前。
校内で一番人気のメロンクリームパンの争奪戦は、毎日毎日全校生徒によって繰り広げられているのだ。
とか言ってる私、山本碧(ヤマモト ミドリ)16歳もその一人。
今年この高校に入学したばかりなんだけど、あのメロンパンの味を一度でも知ってしまうともうやめられないの。
ほっぺが落ちる。
っていうのを、ここに来てから本当に経験したよ。
そんなにおいしいメロンパンは、今は私の隣に歩く清原律(キヨハラ リツ)の手の中にある。
「律、早く早く」
私は、とにかく一刻も早くメロンパンをほおばりたくて、友達でクラスメイトの律をせかした。
「待ってよぉ」
律は苦笑いしながら、私の分のメロンパンを差し出してくれる。
「うわぁい♪ いっただきまぁす♪」
大口を開け、大好きなメロンパンをひとかじりした……その、瞬間。
ドンッ!!
私は目の前にいた誰かにぶつかってしまった。
「いったぁい」
顔をしかめて、立ち止まる。
でも、セーフ。
大事な大事なメロンパンは無事だった。
それを見てホッとし、表情を緩めていると律が私をつついてきた。
「何?」
キョトンとして聞く私に返事をしたのは……律ではなく、ぶつかった相手のほうだった。
「『何?』じゃぁねぇ~だろ」
その声の持ち主を、見上げると、キツイ視線が飛び込んできた。