そういう理由なら……行こうかな。
『分かった、行くよ』春香に最後の送信をした。
春香からは、『了解』の二文字が返ってきた。
そして翌日。私は春香と一緒に会場のホテルへ向かうと、驚くことに同級生のほとんどが参加していた。
ほとんどの女子は綺麗になってるし、男子は格好良くなった人・太った人・痩せた人など様々だ。久しぶりに同級生に会えたので来て良かったと思った。
そして何故か分からないけど、私は翔と隣同士に座るはめになった。
「絵理って、彼氏いないだろ」
翔の開口一番に私は、怒りが込み上げてきたけど必死でその感情を押さえた。思わず無言になってしまったけど、心の中では怒り爆発だった。
ついこの前まではいたけど……今は彼氏がいないのは、事実だから何も言えなくなってしまった。
「やっぱり図星か。絵理って相変わらず分かりやすいな」
「ほっといて、翔には関係ないんだから」
すると今回の同窓会の幹事を努めた、清水くんが口を開いた。
「お前ら暫く会ってなかったはずなのに……10年前と変わらないな」
「まぁな、10年ぶりに会ったけど……絵理はほとんど変わってないからすぐに分かったし」
「……失礼な」
同級生は皆、爆笑している。でも、こんな口喧嘩が新鮮に感じる。中学の頃は、毎日の日課みたいなものだったから。
私は明日は仕事が休みなので二次会にも参加することした。二次会は人数がかなり減ったけど、それなりに話は盛り上がり楽しい時間となった。
その帰り道、私は翔と携帯のアドレスと番号を赤外線で交換した。
「俺からの連絡、無視すんなよ。電話は5コール以内、メールは1分以内に返信な」
「何?その上から目線。仕事中は無理だから、連絡が遅くなった時は仕事だと思ってね」
「あぁ、それくらいは分かってる。でもそれ意外で遅れたら、どうなるか分かってるよな」
「……ちょっと何?」
「何ビビってんだよ。冗談に決まってるだろ。何もしないって」
「本当に?信用出来ないんだけど」
翔との予想外の再会は、私にとってかけがえのないものになるなんて……この時は思いもしなかった。