私は寝てる翔のおでこにそっとキスをした。すると翔がようやく目を覚ました。

「絵理、おはよう」

「おはよう。もうお昼だけどね」

 私の言葉に翔は時計を見た。

「そうだな。じゃあルームサービスを頼んでブランチしてから帰るか?」

「そうだね」

 メニューを見て、お互いに自分の好きなものを頼んだ。食事を終えて帰宅すると、ポチが私の足にまとわりついてきた。

「ポチ、ただいま」

 私はポチの頭を撫でると嬉しそうに吠えた。

「こら、ポチ。お前は絵理に甘えるの禁止だ」

「もう……翔ってば、ポチにヤキモチ妬いてるの?」

「ポチはオスだから、絵理の方になついているのが面白くないだけだ。俺だって犬は好きなのに、全然なついてくれないからさ」

 翔は拗ねているだけのようだ。

「だぶん大丈夫だよ。そのうち翔にもなつくようになるから。だって私たち結婚するんだから。ポチもすぐに慣れるって」

「そうか?」

「前向きに考えなきゃ」

「そうだな。それと早めにお互いの親に挨拶しないとな」

「うん」

 私たちの結婚話はトントン拍子に進み、プロポーズされてから半年後、ハワイで2人きりで挙式した。

 きっと翔には永遠に恋心を抱くだろう。誓いのキスを交わした瞬間、私はそう思うのだった。


END